「中国語でPERAPERA北海道」Q&A

Pocket

「中国語でPERAPERA北海道」出版記念イベントにおいて、会場からの質問に著者らが答えるQ&Aコーナーでは多くの質問が寄せられ、イベント時間内にすべてお答えすることができませんでした。そこで、著者らが後日検討した詳しい回答を下記に掲載していきたいと思います。随時、追加されますので、お楽しみに!


【本書の制作・内容について】

Q.この本を作るのにあたって、作成のきっかけは?どのようなことでしたか?何か印象深いエピソードがあったら紹介して下さい。

A.札幌中国語工房の主宰する相互学習会のメンバーで、勉強のために2006年と2009年に札幌のガイドブックを自費で制作し、機会があれば第3弾を作りたいと考えていました。今回出版の労を執ってくれた北海道新聞社の担当者も中国語を勉強していて(通訳案内士有資格者!)その縁で、第3弾を作るなら出版を考えようという話になりました。

印象深いエピソードは本の中でも紹介していますが、「メロン」の訳語に苦労したこと。自分が最初に覚えた訳語にこだわって他の訳語がふさわしくない気がしてしまったり、訳語を選ぶときどういう基準で選ぶか(多くの地域で使われている、「夕張メロン」のように組み合わせたときおかしくない等々)の考え方もいろいろあって、まさに異文化のすきまに入り込んだ感じでした。(回答者:及川)

Q.札幌市内の大きな地名もどこかに入れてほしいかな。モイワとか、大倉山ジャンプ台とか、狸小路とか。

A.代表的な観光地・スポットをQ&A観光地追加一覧にまとめました。ご活用ください!(回答者:及川)

Q.本書の右下の「哦!」は日本語での意味は?

A.「ああ、なるほど」と気がついたり納得したことを表す感嘆詞です。本書9ページに読み方、意味を掲載しています。(回答者:森若)

Q.参考資料が意味不明

ガイドをやっている時に必要かつ役に立つ資料です。ガイドをやってみると、この資料がいかに便利かがわかります。(回答者:森若)


【北海道観光について】

Q.札幌は買い物くらいしか行くところがないように思うが、彼らの札幌に対する感想は如何に。

A.藻岩山、大倉山ジャンプ競技場、開拓の村、白い恋人パーク、定山渓温泉…実は札幌にも観光地はけっこうあります。買物に便利でありながら、観光地も近いので、短時間にたくさんのことができ、お客様からの不満はあまり聞いたことがありません。きれいで便利な街だという印象をお持ちだと思います。(回答者:森若)

Q.デパートや量販店の店員に対する中国語教育/研修の状況と現場の実際(アルバイト情報誌では中国語スタッフの募集が多いが、混乱していないのか?順調にいっているか?)

A.サービス分野での日本人スタッフへの外国語教育はまだ未熟だと言わざるを得ません。外国語ができることが報酬にはっきり反映されると、状況は改善されると思います。それでも外国語教育を行っている企業も少しずつ増えているのは事実です。
一方、ネイティブスタッフの採用が近年急速に増えていますが、言葉の問題だけではなく、習慣の違いからくる摩擦も起きていると思います。例えば、特に仕事がない時、日本人は何となく働いているように見せるのが上手ですが、日本人の暗黙の要求がよくわからない外国の方はリラックスムードを展開してしまうこともあるようです。それでも、何とか折り合いをつけてやっていけるレベルにおさまっていると思います。(回答者:森若)

Q.ススキノガイドはだれが??

A.中華圏のお客様はお酒だけを飲む人は少ないせいか、ラーメン横丁以外で、ススキノに行きたいというお客様に会ったことはありません。皆さん、食事をしながら酒を楽しむという感じです。(回答者:森若)

Q.北海道への観光は中国語圏だとどの国の方々が多いのですか?先ほどマレーシアの方の話が出ましたがマレーシアも中国語?

A.北海道経済部観光局の統計(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikomi.htm)によると、平成27年度の訪日外国人観光客は208万人、このうち約60%が中国文化圏からのお客様です。内訳は、中国が最も多く55万4300人、次いで台湾が54万7800人、香港が16万5100人となっています。

マレーシアの公用語はマレーシア語と英語です。しかし、東南アジアの多くの国が多民族国家であり、マレーシアにも多くの華人(全人口の約24%)が住んでいます。彼らは公用語の他にも、祖先の出身地である中国各地の方言や普通話を使用しています。かなり訛りが強くて慣れるまで聞き取るのが難しいですが、こちらの言っていることはちゃんと理解されるので、コミュニケーションは可能です。(回答者:杉江)

Q.中国人は冬はどこに観光に連れていきますか?(雪まつり以外で)

A.よく行くのは、冬ならではの景色が楽しめる場所です。例えば「層雲峡温泉氷瀑まつり」や「千歳・支笏湖氷濤まつり」。みなさん極寒が作り出す迫力ある造形に感嘆し、たくさん写真を撮って帰られます。

また雪上のアクティビティも人気があり、スノーモービル、スノーラフティング、チューブ滑りなどは大人も子供も大喜び。最近は「スキーをしたい」というご要望も増えてきました。ちょっと体験してみたい方、インストラクターを付けて本格的に習われる方、やり方は様々ですが、ウィンタースポーツへの関心の高まりが感じられます。(回答者:石川)

Q.とてもコンパクトにまとめられた、内容の濃い一冊だと思いました。最近の中国からの観光客は北海道のどんな所に一番興味をもっているのでしょうか。年代別にどういう食、アクティビティを好むのか知りたいです。

A.北海道に来られる方の大半はすでに東京~京都~大阪のいわゆるゴールデンルートは訪問済みのため、北海道に求めるのは「都会にない雄大な風景」や「豊かな自然環境」であることが多いようです。空の青さ、湖や川の澄んだ水、青く広がる海原、真っ白な雪原、こういった我々北海道人にはごく当たり前に思えることに歓声を上げ、「そ、そんなに嬉しいですか?」とこちらが戸惑いを覚えてしまうことさえあります。また、東南アジアの季節の変化があまりない地域の方は、紅葉や雪景色にたいへん感激なさいます。

私がガイドするのはお子様連れ、時にはおじいちゃん・おばあちゃんまでご一緒のファミリーのグループが多いため、年代による違いというのは明確にはわからないのですが、食に関しては「現地の人に人気のレストランに連れて行って欲しい」とよく頼まれます。アクティビティは、お子様がご一緒の場合はやはりお子様が喜びそうな場所(スノーパークや動物と触れあえる観光施設など)を選ぶことが多いです。(回答者:石川)

Q.中国や台湾からの北海道への旅費はどのくらいなのでしょうか。

A.団体旅行の目安として中国北京・台湾台北の大手旅行社のサイトを見てみると、北海道6日間で北京からは6,800元~(約11万4,000円~)程度、台湾からは32,000 台湾ドル~(約11万7,000円~)程度となっています(2017年1月27日現在)。

ただし個人旅行になると、いくらくらい、という回答は難しいです。個々の旅行の条件によって非常に大きな差が出てくるからです。例えば車を専用で貸し切り、ガイドを付け、一人3万円するホテルに泊まるようなレベルであれば、同じ6日間滞在で飲食などを含めると50万円近くになりますし、できるだけ公共交通を使いガイドもなし、宿は素泊まり5,000円程度でよいという考えの方であれば10万円程度で足りるでしょう(北海道への渡航費を除く)。

全体的には、団体旅行から個人旅行へのシフトが進んでいること、それに伴い旅行の形態が非常に多様化していることはいえると思います。(回答者:石川)


【中国語学習について】

Q.中国語を少し勉強していますが、街中で聴く中国・台湾からの観光客の方々の会話に耳を傾けても(きき耳を立てても)ほとんど何を言っているのかわかりません。(子どもの会話はたまに聞き取れます)聞きとりの際のコツなどがありましたら教えて下さい。

A.ネイティブ同士の会話を聞き取るのは実は非常に難しいです。スピードも速いし、地方の訛りもあったり文脈が乱れていたりで、かなり学習を積んでもなかなか分かりません。子どもの中国語が聞き取れるのは、語彙もまだ多くなく、スピードも比較的ゆっくりだからです。リスニングの力を伸ばすには、聞いた文章を文字に起こす「听写(ディクテーション)」が練習方法としてはやはり最も効果が高かったです。また、まず初級から中級レベルのテキストについているCDの内容を聞き取ることができるようにし、それができてきたら中国語の映画やTVドラマなどを使うのも効果的です。同じ場面を何度も繰り返して聞いていくと、字幕がなくても聞き取れるようになります。その時に自分も声を出して練習するとさらに効果が高いです。一方、ネイティブ同士の会話が聞き取れなくても気にしないでいきましょう。仕事やボランティアで中国の人と接するときは、相手も語彙や表現を選んで正しい中国語を使おうとするし、また相手が外国人であることに配慮して話してくれることも多いからです。(回答者:井上)

Q.それで結局みんしんぴぇん(ハガキ)はどんな発音ですか?

ィン エン(太字にアクセントを置いて歯切れよく読んでみましょう。かなり近い発音になるはずです!)(回答者:井上)

Q.長文を聞いて訳するのが苦手です。何かいい方法ないですか?(听长文翻译太难了,有没有好办法?)

A.この場合「訳す」より「聞く」に問題がある気がします。いろいろな対策が考えられますが、2つほど。

1. 中国語から日本語に訳す場合ですが、短文の聞き取りはどうですか。短文だと1つくらいわからない単語があっても、それが重要なキーワードでない限り、聞き取りやコミュニケーションにあまり大きな支障はありません。でも長文になると、その「1つくらい」が蓄積されてきます。わからない部分が増える、わからない単語が繰り返し出てくる、となると全然わからないと感じるようになります。
短文が90%は聞き取れる情況なら、それを91%、92%、92.5%と、限りなく100%(外国人に100%はないかもしれないけど)に近づける努力がやはり必要だと思います。
月並みですが何度も音声を聞く、まねして言う、わからない単語を抜き出して覚える、ディクテーション(听写)をするなど、聞いた音と自分の頭の中の中国語を結びつけることが最終的に力になります。

2. 中日訳でも日中訳でも、単純に「長いと覚えていられない」という可能性もあります。特に中国語だと聞き取って理解することに多くのエネルギーを取られて、覚えておく余裕がない。短文の聞き取りレベルが上がれば聞くことが楽になって、覚えておく余裕が出るので、やっぱり1.が重要ですが、中日訳・日中訳どちらにも必要な、長文を処理する練習をするのもいいと思います。
NHKの「クローズアップ現代」はどうでしょう。ファッションとか旅行とか柔らかいものから、政治経済など固いもの、iPS細胞みたいに日本語でもわからないものまでいろいろな話題があることと、まとまった分量の解説があるからです。ニュースは文章のパターンが決まっているので、あまり練習になりません。やりやすい話題の解説(1~2分)を聞いて、その内容を日本語で復唱します。
中国語でやるなら、聞くことにエネルギーをとられてしまうので、今の自分のレベルより1つか2つ低い簡単なものを使い、復唱も中国語で。
メモを取ってもいいですが、あくまで覚えておくことが目的なので、一生懸命書きすぎないこと。なるべく細かく覚えていた方がいいけど、一字一句同じでなくてOK。要するに「ストーリー」を覚えます。長文を聞くときは、自然にストーリーに必要なものとそうでないものを判断しながら聞いているはずで、その取捨選択を積極的に鍛えようということです。ストーリーに必要ないことは捨てて聞けば、聞き取りが楽になります。
元の音声(録画するとか)と自分の復唱している声を録音して聞き比べると、数字に弱いとか、人物が多くなると混乱するとか、問題点がわかるし、同じ音声を使って通訳練習をするのもいいです。いろんな教材をやるより、1つの教材をやりつくす方が地力になると思いますよ。

さて通訳ですが、覚えていられるということは頭の中に整理されて入っているということなので、あせらないで、シンプルな言い回しで、ストーリーからはずれないように1つ1つ取り出して訳せば大丈夫です!(回答者:及川)

Q.中検2級合格レベルでガイドの仕事ができますか?

A.通訳ガイドの業務の難易度にはランクがありますので、中検2級合格レベルでも対応できる内容の仕事を選べば可能だと思います。このレベルの習得目標とされる語彙・文法の知識と運用技能(中国語検定試験の認定基準 http://www.chuken.gr.jp/tcp/grade.html)を習得していると仮定した場合、空港からホテルまでの送迎、ショッピング同行、食事同席などであれば対応できるでしょう。しかし、商談、ビジネス通訳、即興の挨拶が多い宴会通訳等の業務を伴う場合には、まだ厳しいかもしれません。しかし、現在プロとして稼働している通訳ガイドのみなさんは、誰もが経験を積むまで失敗を繰り返して、少しずつ成長してきて、今があります。まずはボランティアの現場等に踏み込んでみて、ステップアップするのが良いと思います。(回答者:杉江)

Q.「中国語でPERAPERA北海道」はどの位の中国語レベルですか?

A.本書は、第1単元から第5単元まであり、先に進むにつれて難易度が高くなっていきます。第1単元、第2単元は、初学者や入門レベル(学習暦1年程度)を想定していますので、中国語検定でいえば、準4級から4級レベルです。第3単元から先は、例文によって難易度に差があります。難しいものは中国語検定2級相当、簡単なものは4級相当の文もあります。難しい文に挑戦するのももちろん大事ですが、「自分にできそうだな」と思うところや、興味のあるテーマを選んでできることを増やしながら地道に学習を続けてください!(回答者:杉江)

Q.HSK6級に合格するにはどのくらい勉強すべきでしょうか?

A.HSKで規定している筆記試験各級のレベルと必要な語彙量のめやすについては、HSKの公式サイトでご確認ください。

HSK各級の一覧表 http://www.hskj.jp/level/

経験に基づく個人的な意見ですが、日本国内の大学の中国語専攻で4年間まじめに学習し、更に中国に長期(1年以上)留学した学習者に相当するレベルが、HSK6級に挑戦しようとする学習者層のように思います。日本国内のみで学習している場合、どうしても「読む」「書く」技能に比べて、「聴く」「話す」技能が低いです。声に出してアウトプットする練習を自学自習で重ねるほか、中国や台湾の映画やドラマを見てネイティブの表現を学ぶことが必要です。(回答者:杉江)

<待续!まだまだ続きます…>